事業会社のQAエンジニアになって直面したリアルな困りごと【イベントレポート】
こんにちは、オープンロジでQAエンジニアをしている加賀谷(@kagay_a)です。
2024年11月、オフラインで行われた「スタートアップのQA集合!リアルな困りごとを語り合おう!」に登壇してきました。
「ここだけの話」を含むパネルディスカッションイベントをしよう!というコンセプトで、令和トラベルのmiisan、ログラスのコタツさんと共にスタートアップQAエンジニアならではの困りごとや、組織について語ってきました。
私からは特に、チームのオンボーディングに関するお話や、リグレッションテストのリニューアルについてをお話させていただきました。
当日の様子や、お話できなかったことも含め、レポートを残したいと思います。
自己紹介
2015年に第三者検証事業を行う企業へ入社し、QAエンジニアのキャリアをスタート。
基本的なQAスキルを身に着けたのち、産休/育休を経て、セールスエンジニア、メンバーマネジメントなども経験しました。オープンロジには2023年10月にジョインしています。
入社当時、QAチームにはオープンロジ以外でのQAエンジニア経験を持ったメンバーが在籍しておらず、検証プロセスの整備などの課題解決が急務となっていました。
はじめは動いていた大型プロジェクトにおけるテスト計画やテスト設計、実施に至る部分を担当し、QAプロセスの可視化をするためのフォーマット整備なども実施してきました。現在はその他の横断的な改善活動や、QAチームのリードを行っています。
オープンロジとは
オープンロジは「物流の未来を、動かす」というミッションを掲げ、
サイロ化が進んだ物流業界の課題に切り込み、テクノロジーにより最適化していくことを目指しています。
現在はEC物流の領域において、荷主と物流パートナーを結ぶプラットフォームを提供しています。
システムによる効率化や倉庫活用、庫内改善も含め、様々な物流の観点からEC事業者様の物流最適化に取り組んでいます。
オープンロジのQAチーム体制
オープンロジのQAチームは現在9名おり、下記のように分担して業務しています。
・各開発チーム(OrderSync、Portal、WMS、Billing)を担当しているQAメンバー
・部署横断的にテストプロセス改善やリグレッションテストのリニューアル、テスト自動化の推進を行っているメンバー
・チーム、組織をマネジメントしているマネージャー
登壇内容
イベントは前後半に分かれており、
前半の第一部では、miisan、コタツさんと共にパネルディスカッションをしました。
リグレッションテストにおける課題
一般的にQAエンジニアのオンボーディングでは「(ドメインやプロダクトの理解を進めるため)まずはリグレッションテストをやってみよう」となることが多いと思います。私も入社後に早速リグレッションテストを手動で回してみようとしたのですが、様々な課題があり、全体の8割しかテストできない!という状態でした。
《リグレッションテストにおける課題》
テストケースの作り方
手順と期待値がテストケースごとにまちまちで、混在している
テストの前提条件などが未記載
開発チームごとにテストケースの体裁がばらばらになっている
メンテナンスの不足
リリースの際のリグレッションテスト実行中、改修などで手順が変わってしまった場合は、読み替えて実行する(人によってマスターファイルの修正をするか否かはまちまち)
あまり使われていない機能など、定期的に見直しなどを行っていない
現在のオープンロジシステムに準じたリグレッションテストの内容になっていない
当時は私以外にQAの一般解を持っている人がいなかったため、リグレッションテストの重要性や目的に着目することが少なかったのも、このような課題を生む要因だったのかなと思っています。
リグレッションテストのリニューアルフロー
リグレッションテストでは、
テスト範囲や粒度が適切に設計されていること
誰が実施しても同じ結果になること
リリース後も、リリース前と同様に、システムを利用できることが担保されること
この3点が重要だと考えています。
しかし、1 と 2 が満たせていなかった状況からすると、3 も満たせるかどうか分かりません。
このままでは品質を担保していくのは難しいと考えました。
そこで、下記のようにリグレッションテストのリニューアルを進めていくことにしました。
スコープを絞り込む(リグレッションテストの対象機能を一覧化する)
機能一覧をベースに、観点一覧を作成する
自動化することを見据えたリグレッションテストフォーマットを用意する
観点一覧をベースに、フォーマットを使ってテスト設計を行う
現在は4の最終的なテストケースを作成していく段階に入っており、運用開始の目途がたちそうな状況です。
また、並行して、既存のリグレッションテストのメンテナンスも進めていました。
こちらに関しては適切に修正やテストケースの追加、スコープの変更を行うためのフローを検討し、運用開始した現在、問題なく実行できています。
開発フローにおけるQA活動がどのようなものであるかというところから、現状のプロセスの課題、リグレッションテストの課題を伝え、チーム内で合意を得て、リニューアルを遂行していくのは自分自身にとってなかなかチャレンジングなことでしたが、良い経験になりました。
ドメイン知識のキャッチアップ
リグレッションテストのリニューアルを進め始めたのは入社してからまもなくでしたので、プロダクトの知識も浅く、物流という複雑なドメインの理解に苦労することもありました。
資料や仕様書も十分ではなかったため、各開発チームのリーダー、プロダクトマネージャー、他のQAメンバーに相談しながらスコープを決めていきました。初歩的な部分の質問も含め、快く相談に乗ってくれた社員のみなさんには本当に感謝しています。(オープンロジの開発エンジニアのほとんどは物流業界未経験で入社しています。みんながぶつかってきた壁だからこそ助け合うのが当たり前、といったカルチャーもあるかもしれません)
その助けもあり、時間はかかったものの、観点一覧の作成まで着実に進めることができました。
また、会社としてもオンボーディングコンテンツはたくさん用意されています。
特徴的なものとしては、パートナー倉庫様での研修です。倉庫で作業している方の運用フローを学び、一緒に手を動かしたりするような研修で、実際にオープンロジのサービスを利用している方と直接会話することもできます。
普段の業務ではなかなかできないことですので、プロダクトの理解が進むだけでなくオープンロジのシステムの介在価値を知る機会にもなり、非常に有意義な研修だったと感じています。
困りごとを語り合う!
第二部では、参加者の方と一緒にOST(をもっとゆるくした懇親会)を行いました。
テーブルごとにテーマが設けられ、それに沿った困りごとや、解決策について語り合いました。
《テーマ》
会社・組織におけるQA文化の醸成
持続可能なQAチームビルディング
開発スピードをUPするプロセス・自動化
QAマネジメント(戦略・評価・育成)
QAエンジニアの採用
私は2つ目の「持続可能なQAチームビルディング」について意見交換をしたのですが、
新たな現場や、別の開発チームにJoinしたときに、QA活動しやすくするためにはどうする?
新しい仲間が増えたときの受け入れ側の準備はどうする?
開発側にQAの価値を伝えるために何をする?
など、パネルでもお話したためかオンボーディングについての困りごとが話の中心になりました。
オンボーディングにはどの会社でも課題があるものなのだな、と改めて実感しました。
おわりに
今回のような「参加者の方とも一緒に悩みを相談するような場」もあるイベントは新鮮で、非常に楽しかったです!
そして実は、私は今回が初めてのイベント登壇でした。
とても緊張していたのですが会場の雰囲気がまったりしていて心地よく、緊張もほぐれてたくさんの方とお話しすることができました。本当にいい機会になりました!
オープンロジのQAチームの課題はまだまだ沢山ありますが、
今後も少しずつ改善を重ね、強いQAチームとして、品質の高いプロダクトづくりを進めていきたいと思います。
We are hiring!
読んでいただきありがとうございました!
オープンロジでは、物流課題の解決に向き合い、社会貢献性の高いシステム開発に取り組んでいます。
品質面での取り組みもまだまだ改善が必要です。
高品質なプロダクトを実現しつつ、自己成長もしたい!とお考えの方は是非、カジュアルにお話してみませんか?